コレッタ・スコット・キングセンター訪問

「非暴力のためのシーズン」、キックオフウィークエンドの締めくくりはコレッタ・スコット・キングセンターでのイベント、希望の火も招かれました。

国際平和博物館(IPM)のあるデイトン市から車で訳30分、イエロースプリングにあるアンチオック・カレッジに併設されています。ここは、キング夫人が学んだ大学。

このセンターはキング夫人の遺産を後世に伝え、文化的・知的自由促進の研究がなされ、また社会的公正を実現する為の様々な活動が実行されています。

(写真:エントランスに飾られる夫人の写真、キング牧師とともに)

公民権運動を支えた影の力

ここでもトウシャ・ガンジー、ジョエル・キング牧師、グレゴリー・フォスター各氏が招かれパネルディスカッションが満席の会場で行われました。

オープニングでは大学のコーラス部が高らかに鳴り響いた後、センター所長のクイーン女史による、コレッタ・キング夫人の生涯が紹介されました。

コレッッタ・キング夫人はアンチオック大学では二人目の、黒人学生。(一人目はコレッタの姉)

歌とピアノの専門教育を受けた音楽家であり、もともと人種差別反対運動でアクティブに活動をしていました。 

それがきっかけでキング牧師に出逢い結婚。クラシック音楽の声楽家になる夢をあきらめ、夫を支える決心をします。その運動に対する献身は、運動中のアフリカ系アメリカ人女性の行動の象徴となりました。不在の多い牧師の陰で、家庭をしっかり守り、4人の子供を育て上げ、牧師の暗殺後は積極的に前面へ出て活動を続けました。

キング牧師の誕生日である1月15日を、国民の祝日にする運動を長年続け、ついに1986年にアメリカ合衆国の祝日に制定されました。

(写真:メインホールにあるスコット・キング夫人の在学当時の写真と希望の火)

一人ひとりの行為が世界を変える

パネルディスカッションでは、過去の非暴力運動において、女性が、そして「普通の人々」がどんな役割を果たしたのか、ひとつ重要なトピックになりました。

コレッタ女史の甥であるグレゴリー・フォスター氏(写真右)は、青少年と40年間向き合ってきたソシアル・ワーカー。

「非暴力の精神は、議論やデモといった面だけに目を向けるのではなく、何より愛に満ちた家庭と子供のケアによりその生きた精神を伝えることが何よりも大切」と強調。

「まず家庭からコミュニティへ、コミュニティから更に広い世界へ広まってこそ、そして多くの人がそれを実行すればするほど、全体に広がり大きな変化をもたらす」

(写真上:右からグレゴリー・フォスター氏、トウシャ・ガンジー氏、ジョエル・キング牧師)

ガンジーの有名な非暴力運動の「塩の行進」にはイギリス政府の弾圧を恐れず数千人の人々が参加しました。

またイギリス綿の不買運動の成功のひとつの理由として、トウシャ・ガンジー氏は続けます。

「女性はデモ行進に参加できませんでした、というのも、ガンジーは「弾圧を防ぐため女性を盾にしている弱者」と非難されたからです。しかし、多数の婦人が、自分で綿の糸を紡ぎ自分で衣服を作り、不買運動を大きく広げました。このような形で女性も大きな役割を果たすことが出来たのです。」

(写真下:満席のホール、聞き入る参加者。質問も多数)

皆がキング牧師になることは出来ないが、ローザ・パークスにはなれる

ローザ・パークスは、1955年、アラバマ州モントゴメリーで、市バスの中で白人に座席を譲ることを拒否し逮捕されました。その行為が、後のキング牧師率いる人種差別・隔離政策を撤廃した公民権運動のきっかけになったのです。

過去の非暴力の運動が劇的な変化をもたらせたのは、カリスマ性のあったリーダーがいたからだけでなく、何より彼らにインスパイアされて、多数の個人が行動を起こしたこと。

それが既に過去に大きな成果をもたらしている、なぜまた現在、そして未来に出来ないわけがあるだろうか?

それぞれが、出来るところから行動すること。一人の力は小さくても、集まれば強くなり、変化を実現する大きな力になる!

今、また激動する世界のなかで、一人一人が、自分の人生の中で、何を価値あるものとしどう生きるのかを問われています。 

パネルディスカッションのあとで、予定にはなかった希望の火を紹介する機会が与えられました!

人類を利他で融合する、そして世界を愛ある場所に変える運動である希望の火が、どうか一人でも多くの人の心に灯り、  一人一人が良き未来を創造していけますように!

キング牧師を影で支えた大きな存在、コレッタ・キング女史の生涯と、無名の多くの「活動家」に希望の火が出会った午後でした!

(写真:甥のグレゴリー・フォスター氏とカロライン夫人)

闘いは終わりのないプロセスである。

自由は、決して、「永遠に勝ち取る」ことはできない。

各世代で実現してかなければならない。(コレッタ・スコット・キング、1951年)

玉本 三和(たまもと みわ)

希望の火国際委員会 オランダ及び欧州担当

 

1995年に渡仏、シュタイナー教育と人智学の芸術治療を

学ぶ。1999年からオランダ在住、

タオ指圧セラピスト。