〜『希望の火』 インドミッション 2023〜

『希望の火』と共にガヤの空港に降り立ったのは、ダライ・ラマ法王の呼びかけで開催されたフォーラムに参加するためだった。

そこに集った世界の僧侶約2,000人を前に、『希望の火』代表の遠藤喨及さんがスピーチをすることになっていたのだ。

場所は、釈尊が悟りを開いた菩提樹のあるブッダガヤ。

(写真)ブッダガヤの大菩提樹

このフォーラムの目的。それは、世界各地に分かれて発展した仏教の僧侶たちが、一同に会すること。そして、それぞれの活動や体験を語り、互いの理解を深めること。

こんなこと歴史的には、初めてのことだ。

 

開会式ではダライ・ラマ法王もお出ましになり、祝福と法話をされた。そして3日間に亘って、世界35か国から集まった、選りすぐりの僧侶の方々のスピーチと質疑応答が行われた。

(写真)ダライ・ラマ法王と約2,000人の僧侶たち

2日目の午後は、「仏教と現代」がテーマの第6セクション。この時、スピーチだけでなく議長まで勤める、喨及さんが登壇する。

ところで喨及さんは、ステージ準備の時から、ステージ担当の女性にジョークを飛ばして笑わせたりしていた。

驚いたことにセクションメンバーたちには、「僕らのテーマは現代と仏教なんだからさ。好きなようにやろうよ。ロックコンサートみたいにやろうぜ。伝統なんかぶっ壊してさ。新しいものを創ろうぜ!それが仏教なんだからさ」なんて言っているのだ。

世界の高僧方が集まるフォーラムで緊張していたメンバーたちだが、皆、「そうだ!」と楽しそうに反応していた。 

このセクションは、他に比べて若(わか)やいだ空氣感が満載になった。

 

1)インドネシア上座仏教僧のダンマブッドー師は、「オンライン配信での法話」

2)チベット仏教僧のタブケ師は、「科学としての仏教」

3)タイ上座仏教僧のパティポール師は、「ゲームを使った仏教教育へのアプローチ」

4)韓国仏教僧のジャ・ホン師は、「マンガやアニメーションを用いたメディア活用」

 

それぞれの話も面白かったが、スピーチ前に彼らを紹介する議長・喨及さんのやり方がまたユニークだった。

何と、プロフィールを読んだだけではわからない、一人一人の背景について、特に印象的なところや感動的なところを発表したのだ。(それは喨及さんが、フォーラムの前日に、”悪いけど、肩書や地位には興味ないから、あなたの話を聞かせて欲しい”とインタビューした結果だった)

 

最後に、「21世紀に仏法を伝えるユニークな方法」(A unique way to share the Dharma in the 21st century )と題した、喨及さんのスピーチとデモンストレーションが行われた。

喨及さんの議長で会場の気が盛り上がっていたためか、スピーチが始まる前に、会場からは温かい拍手が送られた。

(写真)喨及さんのスピーチは、壇上も会場も笑顔に溢れていた。

そしてスピーチ後、日本の参加者からは、「日本の評判を上げてくれた!」、「一番が拍手が多かった!」、「大ウケだった」などの褒め言葉を頂いた。

実際、「喨及さんのスピーチが、一番おもしろかった!」という人が多数おられた。

また、スピーチの後、喨及さんだけでなく、『希望の火』メンバーの僕にまで、様々な国の僧侶の方が話しに来られた。「自分もぜひ学びたい」という方々も少なからずいらっしゃった。

(写真)会場に灯った『希望の火』。新たに2,000人の祈りが加わった。

今回、世界の高僧方のスピーチを聞かせて頂き、また、世界中から集まった僧侶の方々のそんな反応を見て、今更だが、驚きをもって実感した。

それは、〝自分たちが今まで当たり前のように学び行じていたものが、どれほど稀有なものであるか。そして、間違いなく世界最先端の発展した内容だった〟、と。

 

また4日目には、釈尊が悟りを開いた大菩提樹に、世界中の僧侶が集まった。そして、ダライ・ラマ法王を導師に迎え、世界平和の祈りが行われた。この時、世界各国の般若心経が唱えられた。

このとき僕は、ふと思った。

このフォーラムは、『希望の火』が世界を新たな次元に導いていく幕開けだったのではないか?と。

(関連リンク)チベットハウス・ジャパン→チベットハウス代表のアリヤ博士率いる日本と韓国の僧団メンバーが、ブッダガヤで開催された国際サンガ・フォーラム2023に参加