オランダ平和週間のブログ、後編です。

平和について語る時大切な二つのテーマ、人道的戦争法と武器売買を扱った学習会イベントと、

日本でも劇場公開されている映画「私は憎まない」についてお伝えします。

 

9月18日(水)人道的戦争法・武器貿易を学ぶ夕べ

 

この夕べはアムネスティと希望の火共同企画でした。

人道的戦争法は、赤十字から、武器貿易については武器売買ストップ.nlから、

それぞれ専門家を招いてレクチャーがなされました。

ほとんどテレビでは放映されないこのトピック意識について意識を高めること、

私たち一人ひとりが、何ができるかを探りました。

 

まず初めに、すべての人にとって、世界がより良きものとなることを願い、希望の火に祈りを込めました。

1.制裁力がない人道的戦争法

赤十字からとても熱心な二人の若い職員、ステラさんとシャコさんを招きました。国際法を学んだ法律の専門家です。

人道的戦争法は、戦争中の民間の被害を最小限にとどめる最低限の人権を守るための法律で、

1887年にすでにジュネーブ約が批准されています。

法の中心テーマは以下の二つ。

1.市民と軍事標的の分離(非武装の市民を標的にした攻撃は違法)

2.軍事標的攻撃の有効性と付随的損害の比例の割合。(標的の攻撃時、民間の付随的被害・損害がどれほど発生するか)

 

違反した場合の制裁がないなど、実効力が少ないことが問題です。

赤十字としては民の意識を高めるために教育に力を入れており、学校等で盛んに講習をしているとのこと。

 

私たちが、戦争中の国に法律を守ることを強制することはできないけれど、発生した被害に対して支援することは出来る。

そのような視点から、水・食料。医療等すべてが欠乏している現在のガザの非人道的な状況を語り、

8月から行っているガザの市民への水供給のプロジェクトの支援をお願いしました。

日本からの支援はこちらから❣

2.武器貿易にメス

続いて、全くと言っていいほどメディアには登場しない暗黒トピック(笑)、武器売買と貿易についてです。

(写真の英語:戦争ー誰が払う? 誰が死ぬ? 誰が利益を得る?)

変残念なことですが、現在オランダからは空爆用飛行機F35がイスラエルに輸出され続けています。

PAXやほかの機関が国を相手取って違法との訴訟を起こしています。

この夕べでは、武器の輸出の危険性と厳しいチェックの必要性について説明がされました。

レクチャーをしてくれたウェンデラさん(写真左下)の組織「ストップ武器売買」は研究者の集まりで、リサーチと周知もしながら裁判を起こしたり、はたまた武器貿易の見本市(そうです、そんなのもあるんです!)の前に立って反対のデモしたり、オールマイティです。

 見本市は、表面上(入口)はワインの見本市みたいな装いだったりするそうです、その裏に入っていくと。。。      私たち大衆の知らない裏で本当にいろんなことが起こっています、もっと真実を知らないと!と痛感。

世界のいたるところで戦争や紛争が起こり、人々は恐れと命の危険を感じています。

このような状況の中で、「防衛や軍備に予算を増やすのは仕方がない」という空気が醸成されていきます。

国は、武器産業に投資するよう銀行や年金基金にプレッシャーをかけている事実もあります。

また、戦争が終わらない本当の理由の一つとして、武器が「本番でどれだけ効果があるのか」

のフィードバックが得られる(!)からということも知りました。

文字通り、開いた口がふさがりません!

 

私たちに、何ができるのでしょうか?

まずは、裏幕で起こっていることに意識を高めること。

次にはお金の流れを見極めること。

そして、何にお金を使うのか、何を選択するのか、を決める。

 

「あなたの選択が世界を創る」ー 有機野菜の広告で見ましたが、これ、すべてにおいていえると思います!

 

オランダでは、www.eerlijkgeldwijzer.nl というサイトで、銀行や年金基金がどこに投資しているのかを

知ることができ、そこからクレームのメールを送れるフォーマットもあります。 

この夕べの後、上のサイトで、現在の銀行へクレームのメールを送り、別の銀行に変えました!

小さな行為ですが、前編で引用させていただいたケネディ氏の言うように、「希望の波紋」が広がっていくことを望みます!

 

同じような日本のサイトはないかと探しましたが、見つかりません(笑)

でも、こちら見つかりました!

世界20の核兵器製造企業に329の金融機関が55兆円提供、日本からは7銀行が2兆円、ICANーPAXが新レポート発表

 

言い忘れましたが、この晩は夕食付きで、シリアとイラクからのコックさんが作る美味しい料理に舌鼓を打ちました!       (写真左下の2人がコックさん)それと、お父さんに連れられて来た男の子も地元シリアの料理が出て大満足、10歳なのにお母さんと離れての避難民としての生活は大変です。本当に嬉しそうで、よかったなあと心から思いました。(右下)

映画「私は憎まない(公式映画サイト)(I SHALL NOT HATE)

これはアムネスティの企画でしたが、ガザ出身の、平和活動に人生を捧げる医師の物語です。

日本でも見られます。主人公のアブエラーシュ医師が、10月初旬に劇場公開に際して来日もされました。

原作は本で、多くの言語に訳されています。

 

始まる前にアルクマール平和大使館のイントロに続いて、パレスチナへ支援活動のため訪問経験がある元アムネスティメンバーの補足説明があり、見に来ていた人の学びを深めました。

主人公はイスラエルで働く初のガザ出身の医師。産婦人科医として毎日イスラエル人とパレスチナ人の赤ちゃんの誕生を助けてきました。2009年のガザ戦争で自宅が砲撃され、3人の娘さんと姪が殺されてしまいます。

砲撃直後、博士の肉声をイスラエルのテレビ局が生放送し、彼の涙の叫びはイスラエル中に衝撃と共に伝わりました。   博士は突然、テレビカメラの前で憎しみではなく、赦しと共存を語りだすのです。

「中東のガンジー、マンデラ」とも呼ばれる彼の誓いとは? 

是非観てみてください!

最後に  ~ 「私は信じています、希望、正義、自由を!」

 

前後編2回にわたったオランダ平和週間のブログのしめとして、

アブエラーシュ医師がこの10月初旬に来日した際のメッセージ から。

私たちの世界は今、暴力、憎しみ、恐怖、怒りという病に侵されている。

今こそ共に立ち上がり、

私たちの子供たち、将来の世代のために、

今、世界を変えていくことは、私たちの共同の責任です。

でなければ、いつ出来るのでしょうか?」

玉本三和(たまもと みわ)

希望の火国際委員会・オランダ及びヨーロッパ担当

1995年に渡仏。

シュタイナー教育と人智学の芸術治療を学ぶ。

1999年からオランダ在住。タオ指圧セラピスト。