9月22日(月)。

旅の最終日は、穏やかな朝の光とともに始まりました。

長い道のりを経て、HOPE80 JAPANはついに**結願(けちがん)**の地・京都へ。

この日は、記者会見、そして平和祈願の滝行が行われます。

記者会見 ― 旅の終わりに語られた言葉

 

午後3時。

静かな空氣の中、今回の日本縦断を締めくくる記者会見が開かれました。

この旅を振り返って印象に残っていることを尋ねられると、

アメリカ・トルーマン元大統領の孫、クリフトン・トルーマン・ダニエルさんは、

「10年間、オンラインで交流してきた東條さんと、

ようやく実際に出会い、たくさん話すことができた。

今までの “東條英機” 像が変わった。」

と話されました。

続いて、マハトマ・ガンジーのひ孫、トーシャ・ガンジーさん

「特に印象に残っているのは、広島でトルーマンさんと東條さんが

並んで花輪を捧げた瞬間。

あれは歴史的な出来事であると同時に、

すべての人に “癒し” をもたらす場面だった。」

二人の言葉には、この旅で育まれた “赦し” と “相互理解” の温もりが滲んでいました。

南禅寺の滝行 ― 平和への祈りを水に託して

記者会見を終え、一行は南禅寺の山中にある滝場へ。

皆、白い装束に身を包み、静かに心を整えます。

願いを書いた白い蝋燭に希望の火を灯し、

「南無阿弥陀仏」と唱えながら、一人、また一人と滝のもとへ――。

冷たい水が身体を打ち、その祈りは澄みきった空へと立ちのぼっていきます。

イスラエル人でありながら、

パレスチナの人々を支援し、仏教に帰依しているマガリ・ブロシュさんは、

滝から上がると静かに語りました。

「本当に大きな力――アミダに包み込まれたような感覚でした。」

その言葉を聴きながら、

誰もが胸の内で同じ祈りを感じていました。

宗教も国境も超えて、

 “平和” がひとつの命のようにそこに息づいていたのです。

結願パーティ ― 希望の火とともに

滝行のあと、一行は黒谷の永運院を訪れました。

HOPE80創設者・遠藤喨及さんの旧知の友人でもある土肥真司住職のご厚意で、

結願パーティーを開かせていただく運びとなったからです。

手巻き寿司や手作りの料理が並び、笑顔と笑い声が夜の静けさに溶けていきます。

福島から始まったこの旅は、出会いと祈りの連なりの中で、一つの大きな円を描きました。

誰かの悲しみを共にし、共に笑い、祈り、最後は滝にも打たれ――

長い旅を共にし、目的を達成した仲間たちの夜は、皆の晴れ晴れとした笑顔で溢れていました。

そして、最後に残ったのは、ただひとつ。

「希望の火は、いつもここにある。」

その灯は、誰の心にも宿り、

静かに、永遠に、燃え続けています。

エピローグ

過去と未来、加害と被害、国や宗教を超えて、

人は、心でつながることができる。

これこそが、この旅を通じてたどり着いた、私たちの “希望” でした。

水の音に癒され、

火の灯りに導かれ、

人の心に希望を見た。

静寂の中、私たちの心の中にある “永遠の灯” は、

これからも世界のどこかで、

新たな希望を照らしていくことでしょう。

HOPE80 JAPANの旅は終わっても、

「希望の火」の祈りの旅は、

これからも続いて往きます。

(完)